今回のテーマは失業給付金。
「え?失業給付金って、そんな場合でも給付されるの?」となる内容が多めです。
無知はコスト・無知は機会損失
今まさに退職を考えている方や、「この会社にはずっといないな」と思っている方にとってはプラスになる内容だと思います!
失業給付金とは?
失業給付金とは失業したときに貰えるお金です。毎月支払っている雇用保険が財源となっています。
ここでいう失業とは【会社を退職し、次の就職先が決まっていない状態】を指します。
なので、
・転職をする
・出産を機に、今いる会社を辞める
・独立開業する
といった場合にも、失業給付金は付与されます。
「解雇(クビ)にされた場合だけ、失業給付金が付与される」と思っている人、意外と多いので要注意です。
いくらもらえるの?
総給付金額は【基本手当日額 × 給付日数】で求められます。
そして、基本手当日額や給付日数は、年収や年齢・失業の経緯により異なります。
おおよその金額は、退職した会社から支払われていた給料額の50~80%です
基本手当日額の早見表
基本手当日額を算出する式もありますが、計算が煩わしいので早見表を作成しました。
◆離職時の年齢が 29 歳以下
直近6ヶ月の収入 | 平均月収 | 基本手当日額 |
360,000 | 60,000 | 1,600 |
600,000 | 100,000 | 2,667 |
900,000 | 150,000 | 4,000 |
1,200,000 | 200,000 | 4,881 |
1,500,000 | 250,000 | 5,532 |
1,800,000 | 300,000 | 5,955 |
2,100,000 | 350,000 | 6,151 |
2,400,000 | 400,000 | 6,667 |
2,700,000 | 450,000 | 6,815(上限) |
※直近6ヶ月の収入には、交通費支給分や住宅手当等は含まれますが、賞与等は含まれません(以下に続く表においても、同条件です)
◆離職時の年齢が30以上44歳以下
直近6ヶ月の収入 | 平均月収 | 基本手当日額 |
360,000 | 60,000 | 1,600 |
600,000 | 100,000 | 2,667 |
900,000 | 150,000 | 4,000 |
1,200,000 | 200,000 | 4,881 |
1,500,000 | 250,000 | 5,532 |
1,800,000 | 300,000 | 5,955 |
2,100,000 | 350,000 | 6,151 |
2,400,000 | 400,000 | 6,667 |
2,700,000 | 450,000 | 7,500 |
3,000,000 | 500,000 | 7,570(上限) |
◆離職時の年齢が45以上59歳以下
直近6ヶ月の収入 | 平均月収 | 基本手当日額 |
360,000 | 60,000 | 1,600 |
600,000 | 100,000 | 2,667 |
900,000 | 150,000 | 4,000 |
1,200,000 | 200,000 | 4,881 |
1,500,000 | 250,000 | 5,532 |
1,800,000 | 300,000 | 5,955 |
2,100,000 | 350,000 | 6,151 |
2,400,000 | 400,000 | 6,667 |
2,700,000 | 450,000 | 7,500 |
3,000,000 | 500,000 | 8,333 |
3,300,000 | 550,000 | 8,335(上限) |
◆離職時の年齢が60以上64歳以下
直近6ヶ月の収入 | 平均月収 | 基本手当日額 |
360,000 | 60,000 | 1,600 |
600,000 | 100,000 | 2,667 |
900,000 | 150,000 | 4,000 |
1,200,000 | 200,000 | 4,698 |
1,500,000 | 250,000 | 4,853 |
1,800,000 | 300,000 | 4,936 |
2,100,000 | 350,000 | 5,250 |
2,400,000 | 400,000 | 6,000 |
2,700,000 | 450,000 | 6,750 |
3,000,000 | 500,000 | 7,150(上限) |
給付日数
自分の基本手当日額を把握したら、次に給付日数について調べます。
給付日数は、雇用保険に加入していた期間、年齢及び離職理由によって定められています。
自己都合、定年退職などにより離職した場合(一般)
被保険者期間 | 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 |
全年齢共通 | 90日 | 120日 | 150日 |
自己都合による離職の場合、給付日数は上記の表の通りとなります。
自己都合とは転職や結婚などを指し、多くの方がこれに当てはまります。
また自己都合離職の場合、離職後3カ月間は給付制限期間となり失業手当は給付されません。
会社都合により離職した場合
倒産やリストラ等により離職した場合は、特定受給資格者と認定されます。
給付日数は下記の表に従って定められます。
被保険者期間 | 1年 未満 |
1年以上 5年未満 |
5年以上 10年未満 |
10年以上 20年未満 |
20年以上 | |
年齢 | 30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 | 180日 | 210日 | 240日 | |||
35歳以上 45歳未満 | 240日 | 270日 | ||||
45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | ||
60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
この場合、離職後3カ月間の給付制限期間は無くなります。また給付日数も自己都合の場合と比較して長くなります。
給付の条件
失業給付とは「就職しようとする意思といつでも就職できる能力があるにも関わらず、職業に就くことが出来ず積極的に求職活動を行っている状態」への生活支援を目的としています。
従って、給付の条件もそれに準じたものとなっています。
給付条件① 離職日以前の2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること
自己都合退社の場合に適用される条件となります。会社都合退社の場合は、
離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6カ月以上となります。
給付条件② 特定の職業紹介機関を通じて求職活動を行うこと
平たく言うと、ハローワークもしくは厚生省が認可した特定職業紹介業者を利用し、おおよそ月に1回の就職活動等(応募など)を行えば良いという事です。
※リンクは東京都における特定職業紹介業者の一覧です
★自己都合でも会社都合と同様に受給できる場合
基本的に、自己都合退社の場合は給付制限があり、また受給期間も会社都合の場合と比較して短くなります
しかし、自己都合退社の場合でも、会社都合退社の場合と同様の流れで失業給付金を受給できる場合があります。
①特定理由離職者
特定理由離職者とは、契約更新満了や病気・ケガ・家族の介護など、正当な理由がある場合の退職に該当します。
特定理由離職者として認定されるケースは厚生労働省が発信しています。
以下は、その抜粋です。
特定理由離職者と認定されるケース①体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者
②妊娠、出産、育児等により離職し、雇用保険の受給期間延長措置を受けた者
③父母の死亡、疾病、負傷等のため、もしくは父母の扶養のために離職した者
④常時本人の看護を必要とする親族の疾病、負傷等のために離職した者
⑤家庭の事情が急変したことにより離職した者
⑥配偶者又は扶養すべき親族と別居生活を続けることが困難となり離職した者
⑦次の理由により、通勤不可能又は困難となったことにより離職した者
→結婚に伴う住所の変更
→育児に伴う保育所その他これに準ずる施設の利用又は親族等への保育の依頼
→事業所の通勤困難な地への移転
→自己の意思に反しての住所又は居所の移転を余儀なくされたこと
→鉄道、軌道、バスその他運輸機関の廃止又は運行時間の変更等
→事業主の命による転勤又は出向に伴う別居の回避
→配偶者の事業主の命による転勤若しくは出向又は配偶者の再就職に伴う別居の回避
⑧企業の人員整理等で希望退職者の募集に応じて離職した者
⑨労働契約更新を希望したが、期間満了により離職した
特定理由離職者の認定条件
上記のケースのうち、最も身近なものは【①体力の不足、心身の障害、疾病、負傷、視力の減退、聴力の減退、触覚の減退等により離職した者】かと思います。
これが認定される為には、以下の3つの条件を満たす必要があります。
ケース①の認定条件①退職前に通院歴があり、かつ傷病名が診断されている状態である事
②退職日時点で、現在の職場では働けない状態である事を医師の診断によって証明されている事
③退職後に、「現在就業可能である」もしくは「働けるようになる日時」が医師の診断によって証明されている事
これらの事項を医療機関より就労可否証明書に記載してもらい、ハローワークに提出。
受理されれば、晴れて特定理由離職者となり給付制限が無くなり受給日数が増加します。
②特定受給資格者における解雇の特例
以下の条件に当てはまる場合は、会社都合退社として処理されます。
賃金の未払いや減額が発生している
労働条件等の大きな変更が発生している
再就職すると、失業給付金の付与はストップされる?
結論から言うと、失業給付金の付与はストップされます。
厳密な期限は、再就職先の勤務開始日の前日までです。
しかし、残りの給付日数に応じて、支払い残額の一部が再就職手当として付与されます。
再就職手当でいくらもらえるのか?
再就職手当の金額は、以下の式で求められます。
再就職手当金額=基本手当日額×残存給付日数×給付率(※)
※給付率は残存給付日数に応じて定められています
給付日数 | 残存日数(総給付日数の3分の1以上) 給付率60% |
残存日数(総給付日数の3分の2以上) 給付率70% |
90日 | 30日~59日 | 60日~90日 |
120日 | 40日~79日 | 80日~120日 |
150日 | 50日~99日 | 100日~150日 |
180日 | 60日~119日 | 120日~180日 |
210日 | 70日~139日 | 140日~210日 |
240日 | 80日~159日 | 160日~240日 |
270日 | 90日~179日 | 180日~270日 |
330日 | 110日~219日 | 220日~330日 |
例えば、基本手当日額が5,000円・給付日数90日のうち残存日数が35日の場合
再就職手当金額=5,000円×35日×60%=105,000円となります。
再就職手当の申請は、所定の申請書に必要事項を記入し、ハローワークへ提出します。申請書はハローワークのサイトにてダウンロードが可能です。
再就職後の賃金が、前職よりも低かった場合
再就職後に6ヶ月以上継続で雇用された際に、新たな就業場所での賃金日額が前職よりも低かった場合、およそその差額分が補填される就業促進定着手当が存在します。
限度額は設定されていますが、こうしたケースに陥った場合にはぜひ利用したい制度です。
ケーススタディー 会社のやめ方&給付金のもらい方
さいごに、実際に退職した際のシミュレーションを示します。転職や出産・独立などを視野に入れている方の参考となれば幸いです。
28歳男性が体調不良を理由に転職するケース
例えば、通勤時などに気分が悪くなる・吐き気を催す・体が怠いといった症状や、職場の人間関係等によるストレス(それに起因する体調不良)があり、転職するケースがあります。
※その際に、4日以上の欠勤を伴う場合は傷病手当金の申請が可能です。傷病手当金については以下の記事をご参考下さい。
【男性の詳細情報】
・年収360万円(各種手当含む)+賞与40万円
平均月収は30万円なので、基本手当日額は5,955円
・22歳から新卒として入社し、雇用保険には6年間加入
年齢は30歳未満・雇用保険加入期間は5年以上10年未満の為、給付日数は120日
※体調不良が原因の為、特定理由離職者として扱う
以下、時系列に沿ってやるべき事や各種計算を記載していきます
①退職を決意する
②事前に通院し、傷病名の診断を受ける
③退職届を提出する
④退職書類の事前申請をしておく
⑤最終出社日の後、有給を消化する
⑥退職後およそ1週間~10日以内に退職書類等が届く
⑦退職書類等を持ってハローワークへ行く
⑧ハローワーク職員へ相談し、特定理由離職者の申請を行う
⑨7日間の待機期間の後、雇用保険説明会へ出席し、失業認定を受ける
⑩失業認定の4~7日後、給付金が指定口座に振り込まれる
※振込額の計算
基本手当日額 5,955円×経過日数 約20日 (待機期間終了~初回認定日)=119,100円
⑪その後、約4週間に1度のペースで求職活動を行う
⑫40日の失業期間の後、残り給付日数が80日となるタイミングで再就職する
⑬ハローワークにて再就職手当を申請する
※振込額の計算
基本手当日額 5,955円×残り給付日数 80日×70%=333,480円
まとめ
いかがだったでしょうか?ケーススタディーでは【転職】を扱いましたが、出産や独立による退職でも、適用可能な制度です。
こうした制度を知らずに会社を辞めてしまい、本来受け取れるはずのお金が受け取れないといったお話はよく聞きます。
ぜひ、ご自身でも事前に調べてみてください(^^♪
さいごに
お読み頂き、ありがとうございます。当ブログ管理人のAsumiです。中小企業診断士として、家計の見直しや、起業・副業、資産形成などの相談も承っています。
今回の記事の中で「分からない事」や「疑問・質問」があれば、コメント欄にご記入ください。順次回答していきます^^また、下記のLINE@へのご連絡でも大丈夫です♪(Line@の方が早めに返信出来ると思います)
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